発明ヒントを得やすい夢の見方

オーガスト・ケクレ博士(1829-1896)は、ベンセン分子の環構造(炭素から成る六角形の輪に水素が結合した構造)を解明したことで有名だ。これにより、さまざまな加工物質がつくられるようになり、また医薬品なども大きく発達することになったのだ。

しかし、解明に到るまでには多くの苦労があった。そして、あるときに見た一つの夢が、彼に解明の糸口を与えたのだった。1865年の研究当時、彼はベンゼン分子の構造を解明するために、多くの実験を繰り返していたが、大した成果はあがらなかった。

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一日のうち、ほとんどの時間が、この化学実験に費やされていたのにもかかわらず、なかなかベンゼン構造の秘密は解けなかったのである。研究も何度も諦めかけたという。あるとき、疲れ果てて、彼はうたた寝をしてしまった。そのとき、彼は夢の中で幻想的なイメージを見たのだ。

それは、燃え盛る炎の中を、幾つもの原子が飛び交っているというイメージだった。やがて、それらの原子がグルグルと回り始めた。回転している原子は、こんどは3匹の蛇に変わった。しかも、お互いの尾に噛みついたまま、やはりグルグルと回転を続けていくのだった・・

それがあまりにも奇抜なイメージだったので、ケクレ博士は驚いて飛び起きたという。 しかし「3匹の蛇がお互いに尾を噛み合ってグルグルと回っている」というイメージは、まさにベンゼンの化学構造を暗示していたのだった。彼はそのことに気がついた。

やがて、ケクレ博士は学会で、ベンゼン分子は実は六角形の輪でできていたのだ、と発表し、化学界を驚かせることになる。前にも述べたように、ヒラメキは問題意識(課題)があるところに生じる。「火(課題)のない所に煙(ヒラメキ)は立たない」ということだ。

ケクレ博士も、蛇のイメージを得るまでは、研究と実験に没頭・集中しており、左脳的思考力も酷使していたために、そうとうに精神が疲労していたはずだ。だから、思わず、うたた寝をしてしまった。だが、ここが大事なのだ。普段から休憩ばかりする人には何も起こらないが、真の意味で休息を取ると、イメージ脳(右脳)が「待ってました」とばかりに活発化しだして、左脳的思考では解けなかったことをイメージとして夢に見せることもあるのだ。

インスピレーションが起こるのにも、なにかの問題を熟考していたという前提がある。 そして、ヒラメキが湧き出てくるのにも、一定の潜伏期があるのだ。思考の蓄積が熟成したものがヒラメキとなり、インスピレーションとなって、心の中に飛び込んでくるのである。それは、夢のように視覚的で映像的なイメージとして、脳裏に焼きつくように出現することもある。発明志望者は、もっとイマジネーションと夢見る時間を大切にするとよい。

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