発明アイデアの売り込みには、積極性とタイミングが重要

Yさんという婦人の場合も、以前から小物発明的な趣味を持ちたいと思っていました。しかし、N氏と同様で、やはりアイデアの試作と特許願の出願手続き、売り込みに関して、いつも躊躇していました。そのため、なかなか、それ以上は前に出ることがなかったのでした。

ところが、発明の試作や権利化について、ちょっとアドバイスしただけで、もう水を得た魚のようになり、それまでは頭の中にしかなかったアイデアを次から次へと、形にするようになったのです。

Yさんのアイデアを、発明サンプル(つまり試作品)として作るのを私も手伝っていました。「発明サンプル」とは、発明アイデアを企業に売り込むにあたって、その形態や効能を相手企業にイメージさせやすくするための試作品のこと。

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つまり、この発明サンプルがないと、提案するアイデアのイメージを相手の頭に描かせにくいため、企業からの採用は難しくなる(売り込みが掛けにくい)と言えるでしょう。サンプルを一つでも作りさえすれば、あとはそれを写真に撮って、いろいろな売り込み方ができるのです。

私の手には負えない複雑な試作には、小物のサンプル(試作品)作りに長けた専門家に頼んでいました。試作の専門企業ではなく、試作に専門的な一個人にです。そういう個人の試作のプロのことを、私は「発明サンプル・クリエイター」と呼んでいました。

さて、Yさんも特許書類に関しては最初、とても難しい書類というイメージがあったようです。そこで、お手本に書いた書類を読ませますと、次のように言っていました。

「これまでは難しくて手が出ないと思っていた特許書類でしたが、これ(お手本)を読んでいると、なんだか楽しいイメージまで浮かんでくるから不思議です」

アイデアが現実化し、それが小さな子供にも楽しそうに使われている様子が、アイデアのことを説明した文章からありありと浮かんできて、俄然、力が沸いてきたというのです。その後は、書類作りにも徐々に親しめるようになっていったといいます。

Yさんには小さな娘さんがいましたが、その子のことをイメージしながら、「改良したおしゃぶり」、「履きやすく、脱ぎやすい子供用の靴」、それに「オリジナル人形」などを作っては、実に生き生きとした感じで、関連の企業などへ積極的に提案して回っていたのです。

そのせいもあってか、ある靴メーカーの専務から、「提案された子供用の靴のアイデアが会社の新製品として採用できるかどうか、今後、会議をとおして検討してみたい」という返事をもらったということです。今後が楽しみです。

Oさんという、これまたアイデア試作が好きな主婦の場合は、振り子の形をした斬新なイヤリングを作って、それを自主製作販売しようと考えていました。

私も、ある雑誌の中でそれを記事として扱い、紙面PRをしてみたり、また、縁起もののグッズを専門に扱っているお店に行って、そうした手作り品を試験的に陳列棚に置かせてもらえないか交渉してみたりと、微小ながら手伝ったりしました。

結果、お店は「そうした手作り品も味わいがあるので、一定の期間なら棚を貸してもよい」と、すんなりオーケーだったのです。

あとは、Oさんのほうで商品として見栄えのよい「振り子型のイヤリング」を仕上げるだけだったのですが、その後、イヤリングの改良に時間を掛けすぎたため、せっかくの話も無くなってしまいました。

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